複雑なルールと、関係者・イベントが絡み合う、
特許管理を少人数で運用。
「私の所属する部署では、大学内に存在する〝知的財産〟〝産学官連携〟の管理および活用支援を行っています。各種契約交渉、外部資金の獲得支援、産学官連携支援、利益相反等のリスクマネジメント支援など、多岐にわたる業務を数名のスタッフで処理していく必要があります。」(有薗さま/以下同)
近年は、保有する特許を活用した、ベンチャー企業のビジネス支援にも力を入れていて、特許の管理が重要になっているといいます。
複数のツールや点在するファイルでの管理では、
特許を捨ててしまうリスクが常に存在する。
世の中に、高性能な特許管理システムは存在するものの、大規模組織向けの高額な製品が多く、比較的小規模な同大学では導入が難しかったといいます。
特許の管理は長期にわたりプロセスも複雑で、適切なタイミングで正しい処理を行わなければ、取得できなかったり失効してしまったりするリスクがあります。さらに、特許そのものの管理に加え、共同研究や展示会出展、特許の利用企業などの〝関わる人・組織・イベント〟の管理も非常に重要になるようです。
「Excelと簡易な特許管理ソフトウェアなど、複数のツールを組み合わせ、二重三重のチェックを行いながら何とか運用してきました。複数のファイルに情報が点在し、フォーマットもバラバラで、検索・更新の作業量が多く、情報共有や引継に支障をきたすこともありました。何よりさまざまな期限を適切なタイミングで把握する手段がなく、失念により特許を捨ててしまうリスクが大きな課題でした。」
懐の深いSalesforceプラットフォームを使えば、
理想的なシステムが実現できるのでは?
「このような業務と日々向き合う中で、私の頭の中に〝理想の知財管理システム〟と〝産学官連携システム〟の構想が湧き上がるようになりました。」
そんな折、学内の別部門にセールスフォース・ジャパンから提案を受ける機会が訪れました。そこで初めてSalesforceを知り、調べるうちに自由度の高さに惹かれていったと、有薗さまは振り返ります。
導入の狙い
●研究支援・知財・契約等の情報を一元管理し、業務の効率化を図る。
●教員ごとの研究活動や連携状況を可視化し、マネジメント層の意思決定を支援。
●各省庁・企業からの照会対応や資料作成を迅速化させる。
頭の中にある構想を、とにかくアウトプットし、
ベスト・プラクティスがキャッチアップ。
Salesforceの導入は、コロナ禍で先が見えず非常に制限の多い状況下のことでした。
「それにもかかわらず、ベスト・プラクティスさんは訪問してくださり、毎回半日程度、集中して進めることができました。」
「私の頭の中に描いていたイメージや理想を、ホワイトボードに書き出したり、Excelにまとめたり。アウトプットを大量に行い、それをベスト・プラクティスさんがまとめ、『これはできる』『これならできる』『こうすればできる』と、提案を出してくれて、プロジェクトがどんどん進んでいきました。」
特許や産学官連携の管理では、関係者との繋がりを
いかに管理していくかがポイント。
実のところ、ベスト・プラクティスは「特許」というものに対して、経験や知識が豊富にはありませんでした。お客さまと密に打ち合わせを重ね、会議で特許の仕組みを教わりながら、最適な設計を探りながら進めていったのです。
特許の管理は、各プロセスのタイミングが重要で、種類によって管理すべきパターンが複数考えられる世界です。そしてSalesforceの真価となる、「関わる人・組織・イベント(行動)との〝関係性〟」と連携することで、盤石なシステムができあがると考えました。
「例えば、管理対象となるさまざまな期限日が近づくと、ToDoとして担当者がキャッチできるようになりました。特定の特許に関連する展示会情報や、連携している企業・担当者など、すべての情報がSalesforceで繋がるようになっています。」
今では、Salesforceがなければ、
業務が成り立たない状態になっています。
「理想に近いシステムが構築できたと満足でき、今ではSalesforceがなくては業務ができない状態になっています。」
毎年、文部科学省から「産学連携等実施調査報告」の提出が求められます。特許費用の収入・支出、ライセンス先の企業規模、産学官連携先企業等の状況など、細かく情報を分類する必要があり、作業に1週間程度を要していたようです。
「Salesforceの導入後は、自動的にレポートとしてデータがまとまるようになり、運用がとても楽になりました。現在は、特定部署の限られた人数による利用ですが、今後は、大学全体への展開を行いたいと考えています。」
ベスト・プラクティスは、
いろんなことを教えてくれた。
「私は実現したいことを、とにかくたくさん伝えただけで、ベスト・プラクティスさんはそれを汲み取って考えていただけました。システムを構築するだけではなく、システムと向き合う考え方や、Salesforceに関するレクチャーもしてくれ、いろんなことを教えてくれました。今では、私自身でSalesforceの項目をサクッと作成することができるまでになっています。」
今も日々改善しながら活用を行い、走り続けるシステムとなっているようです。
導入効果
●情報の一元化による検索時間の大幅短縮、業務効率が向上。
●特許・契約管理における、さまざまなリスクを低減。
●データ活用による教員支援・起業支援が強化。
この事例記事は、2025年6月時点の情報となります。